求人募集にみる人材枯渇とノウハウ不足 |
〜「マイナビ2013」アンビシャス求人ページより画像イメージ〜
< 論 説 >
〜昔から『企業は人なり』とよく言われてきた。「アンビシャス南柏(仮称)」の建設計画が持ち上がってから、もう既に 6 年近くが経過したものの、一向に建設が進まず全く 2 度にわたる工事延期でなし崩しの中止状態(言い換えたら「アンビシャス南柏(仮称)」の建設計画=『死に体』の無残な状況)である。 近隣説明会だの公の場(HPなどの情報発信媒体)で、勇ましい言葉を何度も繰り出しているのだけれど、実態は殆ど伴っていないオオカミ少年のごとくの中身が無い薄っぺらな言葉は、風に乗ってすぐに胡散霧消してしまっているのではないのか。何度も繰り返すのだが、この企業のトップの有様こそ、(株)アンビシャスの本質だと思える。 つい最近、同社の公式HPでアクセスした人材募集(求人広告)の内容が、非常に逆説的だが、素晴らしいアンビシャス路線を行くものなので、ここに紹介したい。 〜次に掲げるのはこの会社が社員に求めるものということだが、図らずもこの言明こそ自社の人材育成のシステムも、ノウハウもまったくゼロに等しい、社員本人任せの人事管理だというお話なのでした。 『誰かに教えてもらうことで答えを見つけるのではなく、躓いて、起き上がって、また躓いて……。その繰り返しの中で成長する。それが、アンビシャスの日常。』 さらには『敷かれたレールの上を歩くより、レールをつくる。レールに使う薪だって自分たちで運ぶ。』だそうです。 (マイナビ「求人サイトのキャッチコピー」および社長メッセージから引用) この惹句、誰のアイデアか知らないが、「結局、会社からの教育・指導・研修などあまりやらないから、入社した人は自分で勝手に仕事を覚えて、やってくれよ!」的なニュアンスに響いてくる。企業の持つ文化、事業のノウハウの継承があってこそ、企業体の持続的な活動が為されていくのであって、その為には先輩社員を含めた企業組織からのサポートと教育・指導が欠かせないのは自明の理だ。実際問題、会社設立時に居た、それなりのノウハウを有していた多くの中堅社員がゴッソリ退社してしまったのだから、ノウハウに関する蓄積は浅く、大卒の社員が根性・気力・体力で、現場での体験、よく言えばOJTを通して学んでいけとノタマッテいるのだ。 これでは、社員ごとにやり方も、ノウハウも、技術力も均一化、標準化していない会社の製品(=マンション)を消費者に平気で販売しますよという言葉と捉えられても反論できないのではないだろうか。 さらにスゴイのは、社長の「会社経営と大海原での航海は紙一重。航海に臨む海図と羅針盤の行方は、社員に託す」なる発言。これは、企業のトップとしての経営職務放棄じゃないだろうか。この方は、特にこうした信じられない発言を奇妙な自信に裏打ちされた感覚で述べるのが、驚きといえば驚きだが、まあ本質的にこうした資質をお持ちなのだと納得するしかないのでした。 比喩とは言え、どこの世界に企業(航海する「船舶」)のかじ取り(つまり海図を読み、進む方向性を指し示す羅針盤に基づく行方の決断)をペーペーの一介の社員(一般乗組員)を任せてしまう企業のトップ(船長)が居るのか?普通、大海原に航海で臨むにあたっては、船長が先頭に立って海図を読みながら航海士と相談はしても、自己の責任と判断で自船の進むべき方向を乗組員に指示として的確に与え、乗組員の安全を確保した上で、目的地めがけて船を操るのだろうが…!頓珍漢で的外れなこのメッセージというか、お気楽な発想こそ安倍社長さんならでは、と苦笑してしまった。さらに、社長続けていわく「歩んできた道は、間違っていなかった」だそうです。この感性というか、こうした“素晴らしい神経”こそがアンビシャス創設者の安倍徹夫氏のスゴ〜イところなのだと改めて感心します。 〜それにしても、 2 回の工事中止とまったく進まないマンション建設計画が「間違っていなかった」とのたまう経営者とは一体どういう存在なのでしょうか?企業の行う事業展開にあって、公に事業実施を宣言したにも関わらず、6 年近く計画が一向に進まない事業展開の責任の所在が企業のトップに存在するものではないという事を、この社長さんは仰っている訳です。しかし、これって本当に責任を負わずとも良いのか?ビジネスの世界での常識を全くもたない経営者が世の中で評価されるとでも言うのでしょうか? この危機感の無さ、無邪気というか、まるでトップに立つ人間の発想ではない、こんな御仁の下でやる気をもって仕事を進めようとする社員は本当に可哀そうに思えてしまうのです。 参考まで、マイナビHPの求人募集記事に記載されている安倍社長のことばを、以下に全文掲載しておきます。(2012.12) ********************************************* {社長のことばより} <なぜ、選ばれるのか。なぜ、人が育つのか。> 「動き出したばかりの船」。アンビシャスをそんな風に例える安倍社長。会社経営と大海原での航海は紙一重。航海に臨む海図と羅針盤の行方は、社員に託すという。 ●歩んできた道は、間違っていなかった 志や夢。そんな言葉が禁句だった時代がありました。 世の中の風潮に流されず、もう一度足元を見よう。大きな志を持とう。そんな想いでアンビシャスを設立したのは、 2004 年の頃でした。 私は、マンションは「箱」ではなく、人生のステージだと考えています。住環境ほど子どもたちの成長や家族や地域との絆に大きく影響するものはありません。だからこそアンビシャスでは、地震などのリスクに対しても安心して暮らせるよう土地選びから徹底的にこだわり、木々を植え、中庭を設け、子どもから高齢者までが広く集まれる場所をつくるなど、「人ありき」の住環境づくりを実現してきました。それが、人が心豊かに人生を歩んでいけるための理想の空間だと考えるからです。 最近では、当社が手掛ける「アンビシャスマンション」シリーズの一つが週刊住宅新聞社賞を受賞( 2012 年 7 月)。これは、子育てファミリーの暮らしやすさに重点を置いたプランニングが高く評価されたものです。マンションづくりにかける信念や物件のクオリティの高さが着実に芽を出し、世の中に受け入れられている証といえるでしょう。 ●あなたは、薪を運ぶことを楽しめる人材だろうか 私たちの仕事は、実に奥が深い。マンションの企画・開発・販売といっても、経済や金融、法律、環境、インテリア、都市論、子育て論など多岐に渡る知識・見識が必要です。そして、何よりも一生に一度の大きな決断をされるお客様に真摯に向き合う責任や人間力が欠かせないのです。今の時代、誰もが素晴らしい能力や資質を持っているのに、それに気づかない人があまりにも多い。結果、自分の可能性に蓋をしてしまっている。当社での仕事を通じて可能性を開花させ、志や夢を実現してほしい。そのために全力で仕事をしてほしいと思っています。 アンビシャスは、システムやスタイルが確立している大手企業とは違い、自分たちで新しい価値観や方法論を開拓できる会社。社員全員にその権利があります。敷かれたレールの上を歩くより、レールをつくる。レールに使う薪だって自分たちで運ぶ。アンビシャスの社員は、そんな働き方を楽しめる人材であってほしいと思います。
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